その声が聞こえたとき、あぁもう最悪って。
2人組に絡まれたうえに、もう1人増えるなんて。
「ってか、よく見たらその子、僕の彼女なんですけど。離してもらえません?」
1度目は、怖さが勝ってて声の主が誰かわかんなかったけど。
今しっかり聞いて、正直少し安心した。
だって、聞き覚えある声と口調だから。
伏せていた顔を上げた。
「つ、き……せんぱ、い……っ」
さっきまで恐怖でまともに声も出そうになかったのに、ほぼ無意識に呼んでた。
いつもと変わらずにこにこ笑ってる月希先輩がいた。
「こんな危険な人に捕まっちゃってダメでしょ?ほら、僕のほうにおいで?」
その言葉に甘えて、月希先輩のほうにいこうとすれば、2人組が黙ってるわけなくて。
「いやいや、勝手に話進めないでくれる?この子がさ、俺たちの相手してくれるって誘ってきたんだけど」

