「あ、あのね瑞月くん?」

「ん、なーに」


「何じゃなくて!」

「なに」


学校に向かってる途中。


家から学校までは徒歩15分くらいで。
いつも瑞月くんと2人で登下校するのが日課なんだけど。


「手!繋ぐのおかしいよ!」

「そう?」


たまに瑞月くんはよくわかんない行動するから。

今も2人で並び歩いて、わたしが昨日やってたテレビのこと話してたら急に手をギュッて繋いできたから。


しかもずるいのが、ただ繋ぐんじゃなくて指を絡めて恋人同士みたいな繋ぎ方。



「こ、こういうのは彼氏と彼女がするんだよ……!」


「んじゃ、ひよが俺の彼女になる?」


「っ、」


そんなあっさり言われても困る。

たぶん本気じゃなくて冗談半分。


だから余計なんて返したらいいのかわかんなくなるの。


黙っちゃったら、今度は瑞月くんが顔をひょこっと覗き込んで、何を考えてるかわからない黒の瞳がわたしをとらえて。



「……ひよは俺のだもんね」