「それじゃ、まだ僕にもチャンスはあるってわけだ?」
シャープペンを握っていた手をあっさり取られて。
おまけにどこかの国の王子様ですかって感じで、手の甲にチュッとキスを落として。
「これから2週間、たくさん仲良くしようね?」
「い、いや勉強を教えてください!」
「もちろんそのつもりだけど、勉強以外のことも陽依ちゃんとしたいなあってね」
「な、何するんですか!」
思わず身構えれば、なんともなさそうにクスクス笑いながら。
「そんな警戒しなくてもすぐに食ったりしないよ」
王子様みたいな顔して、言葉遣いが顔と会ってないとき多すぎるよ。
これから2週間、わたし無事に過ごせるのかな。
不安を抱えたまま、この日はとりあえず何事もなく終了。
終わってから瑞月くんのもとに行ってみれば、すぐさま何かされてないかって何度も何度も聞かれて。
いちおう目立った事件みたいなのは起きてないから、ちゃんと勉強だけ教えてもらったと伝えて。

