「ひよは何やっても不器用だね」

「瑞月くんが器用すぎるんだよ……っ」


さっきちゃんと結んだつもりのリボン。

自分でやっちゃうといつもなぜかリボンの形が綺麗じゃなくて、ちょっと歪んでたり縦になってたり。


「……俺がいないとひよはダメだね」


リボンなんか普段結ばないのに、すごく慣れた手つきでキュッと簡単に綺麗に結び直してくれた。


昔からそう。

瑞月くんはとても器用で、何をやらせても完璧にこなしちゃう。



上から見てもわかる、左右対称でバランスが良くて綺麗に結ばれたリボン。


「んじゃ、行こっか」


最後に頭をポンポン撫でられて、少し顔を上げて瑞月くんを見たら優しく笑ってこっちを見てた。


きっとね、こんな瑞月くんの笑顔を見られるのはわたしだけ。


これも幼なじみの特権かもしれないね。


"幼なじみだから"っていうのが、いつかぜんぶなくなって。


わたしだけの……瑞月くんになったらいいのに。