あの出来事の後、私は家に戻った。


久しぶりに帰る家は、静かでいいけどなんだか物足りない。


でも、そんな寂しさ隣の水瀬君の家へ行けばすぐに吹き飛んじゃう。


水瀬君も特に何も言わないから、気づいたら入り浸ってそうで怖い。


『ねえ、海行かない?』


水瀬君の家で夜ご飯を食べてゆっくりしていた時だった。


紗里奈からの電話。


紗里奈、海とかそういう季節ならではのもの好きだもんね。


毎年、プールとか海とか一緒に行ってる気がする。


「いいね、行こ!」


今は夏休み、日にちはいくらでもある。


『じゃ、来週の……』


2人で日程を決めて一緒に水着を買いに行く日も作った。


「楽しみだなあ、海」


電話をまだ切らずにそう呟く。


「へえ、海行くのか?」