とてつもない低い声を出したのは、私が待ち望んだ人。


「てめえら、何してんだよ」


静かな声なのに、怒ってる。


すごく怒ってる。


「この骨折られたくなかったらすぐにどっか行け。二度とこいつに近づくな」


男の人の腕に力を込めて言った。


「……チッ」


その人たちは、舌打ちをして逃げていった。


「大丈夫か?真奈」


「……水瀬君」


認めよう、彼が好きって。


こんなに抱きしめられて安心する人はいない。


恐怖を一瞬で消してくれる。


「……うう」


「怖かったな、もう大丈夫だから。俺が、守るから」


その言葉にドキってするのも水瀬君だけ。


「ありがとう……」


張っていた緊張の糸が切れ、ひとしきり泣いた後私は、そのまま眠ってしまった。


大好きな人の、胸の中で。