お隣さんは裏アリ王子

「……っ」


おつりを渡す時、彼は私の手に両手を添えて思いっきり握ってきた。


その気持ち悪さにすぐに厨房で手を洗う。


それから少しすると私は、バイトを上がって家路に着こうとした。


けど、突然肩に手を置かれた。


「……きゃあっ」


誰……っ。


振り向くと、そこにはあの男の人。


そして、一緒に来ていた男の人も。


「んん……」


手で口を塞がれ、その男の人は軽々と私を持ち上げる。


あたりを見回すと、周りには誰もいなかった。


車に放り込まれ、運転席と助手席に男の人たちが乗り込む。


私、どうなっちゃうの……。


不安で涙が溢れてくる。


「あっ、泣いてるよ」


見つかったらしく、小太りの方の人が言う。


「ほんとか?くっそ、運転中だから見えねー」