お隣さんは裏アリ王子

私も立ち上がると、すぐに座ってしまった。


立てない、手足が震えてる。


さっきまで、気がつかなかった。


「真奈、いいよ。立たなくて」


そう言った水瀬君は、私の頭を撫でてくれる。


「うっ、うう」


涙が溢れてくる。


「怖かったな。もう大丈夫」


水瀬君が、優しい。


私が泣き止むまで水瀬君は、頭を撫で続けてくれた。


泣き顔を見られたくなくて、水瀬君の肩に頭を預けた時も何も言わずにいてくれた。


「ありがと、もう大丈夫」


顔を上げて、出来るだけ笑って言った。


「よし、じゃあ、乗れ」


「えっ、いいよ。重いし」


「いいから」


「歩けるようになるまで待てばいいじゃん……くしゅんっ」