「お疲れ様でしたー」


そう言うと、湊さんも一緒にお店を出る。


もう、習慣になっちゃったな。


会話はないけど、これから言わなきゃって考えると緊張する。


無情にも、その別れ道はすぐにやってきた。


「あの……この前のことですけど」


そう話を切り出すと、きっとなんのことかわかったんだろう。


「うん」


湊さんは、真剣な瞳で私を見た。


「あ……私、水瀬君が好きです。それは、変わらないと思うから、湊さんの気持ちには、答えられません。ごめんなさい……」


頭を下げる。


ごめんなさいって、思いで。


「そっか。ちゃんと返事してくれてありがと。ごめんね、困らせて」


「いえ、こちらこそ、その場で答えられなくてごめんなさい」