「じゃあ、これも今渡しとくか」


そう言って、水瀬君が差し出したのは鍵。


私の家の鍵に似てる。


「もしかして……?」


「俺ん家の合鍵。いつでも来ていいから」


そう言われて、私は慌てて自分のキーケースをカバンの中から探し出す。


「じゃあ、水瀬君にも」


キーケースに水瀬君の家の合鍵をつけて代わりに取り出したのは、私の家の合鍵。


「お前、鍵、2つ一緒に持ち歩いてたら合鍵の意味ないだろ」


「わかってるけど……なくしそうで怖いから」


もう、一人暮らしを始めてからずっと持ってる。


「いいのかよ、勝手に男が家に入ってくんだぞ?」


「水瀬君ならいいもん」


「マジかよ……」


少し頭を悩ませる水瀬君をよそに私は、瞼が重くなってきた。