水瀬君の背中に腕をまわして抱きしめ返した。


「じゃあ、俺と、付き合ってよ」


「うん……」


ほんと、何回泣かせれば気が済むんだろう。


「これから、よろしくお願いします……」


「ああ。よろしく」


その声の優しさに、安心する。


「ねえ、さっき私が言ったこと、全部七海さんから聞いたんだけど、本当?」


泣き止んで、少し落ち着くと急に不安になった。


「ああ。本当」


そっか……。


「でも、今は真奈しか見てない」


真っ直ぐな瞳でそう言われ、安心する。


同時に、恥ずかしさが込み上げてきた。


「もう、どれだけハマってるか、これからわからせてやる」


そう言われると、柔らかいものが私の唇に重なった。


反射的に閉じた目を開けると、ニヤリと笑う水瀬君がいた。


「覚悟しとけよ?」


水瀬君の裏の顔って、ドSだよね。


うん、絶対にそう。


「はい……」


ドSモードの水瀬君に素直に返事をしてみる。


すると水瀬君は、ニヤッと意地悪に笑った。


そんな笑顔さえも幸せに思えてくる私もなかなか重症かもしれない。