「はあ、はあ」


走って走って、たどり着いたのは体育館裏。


あんなことがあったのに、よくここに来たよね。


「やっと、追いついた……」


後ろから声がして振り返ると、紗里奈と如月君が息を切らしてた。


「どうしたの、突然……」


心配そうな紗里奈の表情に何を言えばいいのかわからなくなる。


「なんでも……ないよ」


「そんなわけないでしょ。あそこにいたの水瀬と校門にいた女の子だよね?」


下手な嘘は、長い付き合いの紗里奈には簡単にばれてしまう。


「うん……。2人で、いたね」


「なんで、泣かないの。真奈……」


「えっ?」


泣きたいくらい辛いのに頰は濡れていない。


「普通、好きな人が別の女の子と2人きりだったら悲しくない?」