諦めたように帰りの準備を始めた男の子たちをかき分けて、窓から覗く。


そこには、水瀬君と楽しそうに笑う茶色がかったボブヘアーの女の子。


それだけなのに、私の胸は、ズキズキと痛む。


その痛みが水瀬君への恋心をはっきりと自覚させていく。


誰なんだろう、あの子……。


「真奈、たぶん兄妹とかよ。そうじゃなきゃ、真奈にあんなに水瀬は必死にならない」


「ああ。あんなに誰かを大切にしてる圭を俺は真奈ちゃん以外に見たことない」


2人が励ましてくれてるのがわかる。


しばらくを見ていると、女の子の方が水瀬君の手を引いて歩き出した。


2人は、そのまま校門から姿を消してしまった。


はあ、行っちゃった。


って、水瀬君、カバン忘れてるじゃん。