「てか、なんか素直震えてない? 怖いの?」
そう言われてみれば、さっきから身震いが止まらない。
っていうのも、緊張のせいなんだけど……。
そうとは言えないし!
「うん……そう、さっきの音がなんなのか考えたら怖くて」
「大丈夫だよ。俺がそばにいるから」
髪を撫でるこの手、なんなの。
「やめて」
「やめない」
「く」
いまだ髪を撫でている大きな手が、優しい動きが、いつの間にか疲れた心身にしみていく。
……安心する。
さすが、魔法使い理太だ。
そうしているうちに、まどろむような心地よさに誘われて、目を閉じた。
現実と夢の間を、揺らぎはじめたとき……――。
――カツン。
金属音がして、閉じたばかりの重い瞼をうすく開ける。
また、さっきの音だ……。
でも、まぶたがすごく重い。



