――ドキドキドキドキ。
あたしの心臓、ちょっとすごく頑張ってるけど……。
でも、一人で寝るよりずっといいはず……!
ピッとリモコンが音を立てると、部屋の灯りは豆球ひとつになった。
「ねー素直。世界一信用しちゃいけない男ってどんな人だと思う?」
「んー……詐欺師?」
「惜しい。正解はね、」
頬を両手で包まれて、向き合う理太は、意地悪な笑みで言った。
「女の子をベッドに入れといて、『なんもしない』っていう男のことだよ?」
そう、笑う理太にドクリと心臓が跳ねあがった。
「え……!?」
ヘーゼルの瞳と至近距離で視線が合っていて、ほっぺがじんじんするほど熱くなっていく。
「世界で唯一俺だけは例外ね。なんもしないよ」
ーーちゅ、と唇が髪に……!
「……っ!」
息を吸うように世界一信用できない発言してるじゃん!
「だから、覚えといて。他の男とこういうこと許したらダメってこと」
なに、真面目なトーンで言ってるの……。
ああ、これはまた教育の一つなのかな……。
「男の人と寝るなんて、絶対ありえないし」
「世の中に絶対は無いんだよ。俺そんなの、ほんと妬くからね?」
「や、妬くって、なんで」
「えー当たり前じゃん」
ーーちゅ、と。
なにもしないと言ったはずの理太は、平気であたしの額にキスをおとして、
「……この子、俺だけのにしときたいもん」
悪戯に持ち上がる口角。
ヘーゼルの瞳に貫かれて。
バックンと心臓は暴れ、頬が燃えるみたいに熱くなる。
この、タラシ!!



