――”言わなきゃ何もできないダメ人間”、なんて理太の嘘。
ぜんぶわかっててあたしに言わせようとしてる。
そうわかってるからこそ、言うのは悔しいけれど。
でも……一人で震えながら朝を迎えるよりは、ここで折れたほうが千倍マシだ。
「……この部屋で寝てもいい? 床を貸してください」
「やだ」
「血も涙もない!! 床くらいいいじゃん! ケチ!」
「ケチじゃない。床だからダメ。一緒にここで寝ればいいじゃん」
そう言って、ベッドをポンと叩く理太。
「……え。で、でも……」
この前、男のベッドに気安く入るなって言ってたじゃん!
あの時……キスマークをつけられたときのことを思い出して、真っ赤になっていたら。
「大丈夫。なんもしないよ?」
優しい笑みは、済んだ瞳。
あ、なんだ。純粋に入れてくれるんだ。
ふー……。一気に安心したよ。緊張は、するけど……。
「おじゃまします……」
もぐりこんだシングルベッドの中で、理太の温もりに触れながら、並んで横になった。



