「……っ」
音の正体がわかんないのに、理太は怖くないっていうの?
なんで!?
理解できない!
こんな中、一人で寝れるの……!?
「いつまで突っ立ってんの。俺もう寝るとこだし、早く部屋戻んなよ」
ようやくこっちを見てくれたと思えば、あっちいけって目をしているんだもん。
「……」
言えない。もう少し一緒に居てほしいなんて、あわよくば同じ部屋で寝たいだとか。
頼める空気じゃない!
そう思って、諦めるように、開けた口を閉じたら。
「……ねぇ。俺、言ってくれなきゃ何もできないダメ人間なんだよね」
ベッドから起き上がった理太があたしの指先を手に取った。
「だから教えてよ。俺に、どーしてほしいの?」
ベッドわきに立つあたしを見上げる、ヘーゼルの瞳。
あたしの心の中を見透かしているのか、理太はにやりと口角をあげた。
――ぐい。
「きゃっ」
軽く手を引かれてバランスを崩したあたしは、理太の上に倒れ込んだ。
理太のももの上に、向き合いながら座ってしまったあたしを抱き込んで。理太は、耳もとで言う。
「……聞いてあげるよ?」
ぞくりと背筋が伸びあがって、心臓がバクバクと音を立てはじめた。



