きみのこと、極甘にいじめたい。







夕飯はバイト先のまかないだったし、お風呂入ってなんだかんだして寝るだけ。



それは、お父さんと麻子さんも寝静まった深夜2時のこと……。




床で寝たせいで寝そびれていたあたしは、部屋でネイルオイルを塗っていたの……すると。




――カツン、コツン、カツン、コツン



一定リズムで刻む金属音が聞こえてきた。



「……な、なに?」



理太が何か工作でもしてるとか!?



そう思って理太の部屋の方に耳をすませると。



「素直―、キツツキでも飼ってんの? うるさいんだけど」



と、壁越しに理太から逆にクレームが入ってしまった。



「あ、あたし何もしてないよ!!?」



「なんでもいいけど静かにして。夜だよ?」



「だから、あたしは何も!」



――カツン、コツン……。



また聞こえてきた。



「え……なんの音?」



……いま、二時だよ? 丑の刻参り!?


おばけ……!?




部屋中を見渡すけど、音源が掴めない……。



――カツン……ッ。コツン……ッ。




より一層、その音が大きく鳴った瞬間、



「っ!!!」


限界突破とばかりに、


あたしは自室を出て、理太の部屋という避難所に飛び込んだ。



「理太ぁ!!」