「え!?」
かっと目を見開きあわてるあたし。
反対にほほえましそうに目を細める理太。
「な、なんで理太まで床で寝てるの!?」
「俺、床で寝たことないから。どんな気持ちなのかなーって試しに添い寝してみたとこ」
「…そそそ、…添い寝を……しないで。目覚ましてよかった! あ、タオルケットありがとう」
「えーもうおきるの?」
甘えっぽい我儘な声を無視して起き上がると、理太も不服そうにしながら起き上がった。
「体、痛いね」と文句をつけるほどには、寝心地は悪かったらしいし、以後やめてほしい。
「そんなことより、今日はノートのこと、ごめんね。理太、怒ってる?」
「怒ってたら、添い寝なんかしないんじゃない?」
「……っ、理太……」
おやさしい。慈悲がある。
「それでね、メッセの“×”ってどういう意味?」
「それは……」
ヘーゼルの瞳はあたしを映し、唇は弧をえがいて。
「……“ごめん”じゃ足んないって意味じゃない?」
……ん!?
「全然、まだ怒ってるんじゃん!」
「だから、怒ってはないって。”足りないな”ってだけの話」
ーーフ、と。
企むような笑みを見せた理太に、何も言えなくなる。
その場に立ち上がった理太は、何事もなかったかのように自室に入っていった。
え……わけわかんなすぎて超こわい。



