始業式は担任に腹痛と伝え、保健室にいた。



式が終わってがやがやと廊下が騒がしくなったころ。



「し、しつれーします!」




保健室に入ってきた素直の声にパッと目をあけた。



たぶん人目を避けて、そそくさと俺のベッドのカーテンの中に入ってきたんだろう、半泣きの人。



やっときたか。待ってたよ。



「ごっ、ごめん、理太……っ! お腹壊したって……⁉︎」



「そんな反省するくらいなら、しなきゃいいよね?」



「う。実は今朝テレビでね、男性に人気のいちご料理っていうのやってたの! いちごと唐辛子を塩アイスにかけるんだって……!」



「う、うん……まぁ聞こうか」



「そんなの、ぜったいまずいよなぁって。でももしかして美味しいのかなあって……、試してみようかなあって……。悪魔の囁きに負けてしまいました」


正直かよ。


「……っごめん!!!」と、がばっと俺に詰め寄る素直。



そんな一生懸命な顔で謝られたら、毒気抜かれるでしょ。



「まあ、パンとアイスって違うしね」


「そうだよね……ごめん」


「それと、生姜(しょうが)はなんで入れたの?」


「唐辛子を入れすぎた気がして、もしかして生姜いれたら辛さがマイルドになるかなって……」


「……バカ」


斜めのセンス振るわないで欲しい。


だけど、しょぼんと本気で反省してる姿を見て、俺は心底思うよ。



……超かわいー。