きみのこと、極甘にいじめたい。

わかな……?


昨日のこともあるし、わかなに用があるのも全然うなずけないことじゃないのに。


ずきずきと痛みだす胸が、あたしに教えてくる。


……こんなの明らかに嫉妬だ。


あたし以外の人を見る、理太が……あたしは嫌なんだ。



「まだ登校してきてないんじゃないかな……」


クラスの女子のひとりがそう答えると、理太は「そっか」とだけ言って、教室を出て行った。



「やっばい……理太にうちらの今の話聞かれちゃったかな?」

「どーしよう……傷つけちゃったかなぁ!?」


そんなおろおろしながらあたしに聞かないで……。


でももし聞かれてたとすれば、傷ついたかもしれない。


……理太はけっこうナイーブだもん。寂しがりだし。


途端に心配になってくる。


理太のバカ……中1の頃からそう、あたしのこと振り回しすぎだから。



――ガタン、と席を立って「ごめん!トイレ―!」と叫んで教室を飛び出した。