「俺、映画の選択ミスっちゃったねー……」


悔しそうな声とともに、ゴツッとあたしのおでこに理太の後頭部が倒された。


「俺にくっついてるのに平気そうにしてるのも、むかつく」


涙越しに見えた理太の頬が、なんか赤らんで……見えるような。


――ドックン。

なに、なに、その顔……。


「……もしかして、理太照れてんの……?」


ドキドキしながら顔を背け、照れ隠しのからかいで繋いだあたしの言葉は。


「……素直にくっつかれたら、俺はドキドキするよ」


呆れっぽい声に、その先を止められてしまった。



余計に心臓を急かされて、涙だって止まったよ……バカ理太!



思いっきり動揺したあたしは転びそうな勢いで理太から離れ、立ち上がったんだけど。



「待って、まだ映画終わってないよ」


と腕を掴まれてしまった。


あたしの真っ赤な顔を見て、フッと噴き出す嫌な男だ。



「最後まで見ないと、呪われちゃうよー?」



そんなの絶対嘘だ。


信じてない、信じていないのに、あたしはその場に座ってしまう。


だって……なんかやっぱり、そういうの怖いんだって! 馬鹿理太!



「ふっ、はは……っ。素直って最高だよね」



理太は愉しそうに肩をゆらしていて、心底くやしかったけど、いつの間にかあたしも笑っちゃってるくらい楽しくなってた。


理太はやっぱり、魔法使い理太なんだとおもう。