「"男に見えない"ような相手に、かんたんに顔赤らめちゃう子は……俺の好みじゃないんだよね」



サボテンをそっとテーブルに置いた理太は、あたしの顎を軽く上げさせて……。


はっと息をのむような綺麗な顔立ちは、不愉快そうだ。


その伏し目の瞼があがり、ヘーゼルの瞳があたしを貫くと……、



「赤くなるくらいなら……ちゃんと俺と向き合ってよ?」



な、に、それ。


「な、なんでよ……!?」


「意味なく真っ赤になられても、むなしいじゃん?」



両頬を優しく包まれてしまい、至近距離にはどこか切なそうな理太……。



「……俺にときめいてから向けて。その真っ赤な顔」



――ポス、とあたしの首元に顔をうずめた理太は、


「!!」



首筋を唇で触れはじめた。


き、キス、してる……よね……!?



「ん……っ、や、くすぐったい、から……」


「じゃあ……なんで逃げないの?」


そう言われて、やっと逃げるという選択肢を思い出したくらい、混乱してたの。


でも、もう逃げるのは無理、かもしれない……。


あたしの両腕が理太に掴まれてしまったから。



ごくりと唾をのみこみ、理太を見上げれば、


彼は小さく首をかしげて妖艶に笑う。



「……ざんねん。逃がさねーよ」