「ヴァイオレット、愛してる……。愛してるんだ……」

君から言ってくれた言葉を言う。僕は君に何回「愛してる」って言った?きっとヴァイオレットの方がたくさん中に素直に愛を伝えてくれていただろう。最後に聞いた君の「愛してる」に対して、僕は「僕もだよ」としか言わなかった。

僕の言葉はもう届かない。それが悲しくて、もっと「愛してる」と言えばよかったとか、もっと色んなところへデートに連れて行ってあげたらよかったとか、もっと婚約指輪を豪華なものを買ってあげたかったとか、今更しても意味がない後悔が押し寄せてくる。こんなことをどれだけ思っても無駄なのに……。どうして人は大切な人を失うとこうして後悔するんだろう……。

「ヴァイオレット……」

僕はそっと冷たくなっている唇に自身の唇を重ねた。チュッ、とリップ音が鳴る。僕の鳴き声しか響いていないこの教会の中では、リップ音はやけに大きく響いた。

「ヴァイオレット……」