「いやぁ、それにしても見事だったなぁ。さすがゆっち」

「どんな問題もかかってこいやー」

「ははっ。棒読み。そこも、さすがっ!」


その日の帰り道。

ルナは逆方向の電車で、ワンコはバイトだからと急いで帰ったため、ひなさんと2人で電車に乗り、途中まで歩いて帰る。

ひなさんとは小学校の時に出会い、私が転校して中学では離れたが、また高校になって再会した。

変人呼ばわりされていた私を唯一受け入れて普通に接してくれたのがひなさんだった。

だから、私はひなさんとは今でもビジネスパートナーとして仲良くさせてもらっている。


「あのさぁ、ゆっち」

「なんすか?」

「ゆっちはさ、ワンコのこと、どうしてスカウトしたんだ?

しかもこの間、ワンコのバイト先のコンビニにわざわざ謝りに行って食事まで奢ったんだろ?ワンコから聞いたぞ~。

一体どういう風の吹き回しなんだよ?」

「別に風を吹かせているわけでもなんでもないっすけど」

「いや、例えだよ例え」

「そんなの言われなくても分かるっす」

「はいはい。俺も分かってるよ。何年一緒にやってると思ってんだか」

「まだ1年すけど」

「ああそうだな。1年だな。悪い悪い」


頭をかいてケラケラ笑う。

ひなさんは良く笑う人だ。

ドジもするし、頼りないけど頼れる。

ちょっと矛盾のある男だ。

だが、それが面白い。

一緒にいて飽きないのだから、さすがひなさん。

心の中で誉めさせて頂く。

ひゅ~っと春風が吹く。

冬を越えたとはいえ、まだまだ夜は寒い。

ブレザー1枚では肌寒さを感じる。