「由紗」

「なんすか?」


隙間から手が伸びる。


「由紗がオレのことを嫌いじゃないのは知ってる。けど、確かに好きっても聞いてない。

由紗がオレを名前で呼ぶのも確かにオレが再加入したからだ。それは分かってる。

でも...でも、な。そうじゃない気持ちがあるなら、言わなくてもいいから、態度で示してほしい。

ってことで、手を握るか潰すか、どっちかにしてくれ」


繊細な手がドアの隙間から伸びた。

握るか潰すかって......。

どっちも触れろってことじゃないっすか。

はは。

ズルいっすね。


「んじゃあ、挟みます」

「あー、それでもいい」


この人、何言ってんすかね。

人を傷付けるようなこと、私がするわけないって分かってるっしょ。

ほんと、つくづく思います。

ズルいっす。

ズル過ぎっす。

けど、

そういうとこも、

嫌いじゃないんす。

むしろ......

好き、なんす。

私は、ゆっくりと手を伸ばし、その手を掴み、優しく握った。