「あのー、だんだん喉が痛くなってきたんすけどーワンコ代わりに歌ってくんないっすかー?」


久遠がこちらを見つめてくる。

なんだよ、その目は。


「無理」


どんな顔でせがまれても無理だっつーの。


「ワンコ先輩、ぼくも一緒に歌いますので、一緒に歌いましょ~」

「そうだよ、ワンコ。最後くらい一緒に歌おうぜ」


首をぶるぶると振って抵抗し続けたが、そんなので許してくれるやつらではない。


「歌え、ワンコ。叫べ、ワンコ」


久遠が煽ってくる。


「だから、意味不明だって。マジでやめてくれ」


マイクを口に近付けられているため、オレの声が全て拾われてしまう。


「ワンコ先輩まずいですよ!このままではビリになっちゃいます!」

「ビリはラーメン奢りだからな!楽しみだなぁ」

「おいっ!何だよ、それ!ふざけんな!」


ったく、どいつもこいつも...!

仕方ねぇ!

歌ってやる!

オレは久遠からマイクを奪い取り、口元に近付けた。