オレはケーキをじっと見つめた後、口に運んだ。

じんわりと口の中に甘さが広がっていく。

優しくて溺れたくなる甘さだ。

オレは1口2口...とどんどん口に運んだ。


「おー、やっぱ好きなんすね。ビンゴー」

「ビンゴビンゴ!」


甘い。

けど、旨い。

けど、今オレがこんなに頬張っているのは、押し殺すためだ。

胸に競り上がってくるこの気持ちを底に突き落とすためだ。

だから、無我夢中で頬張る。

そうするしかないんだ。

秒で食べ終え、席を立つ。


「オレ、コーヒー持ってくる」

「はい、どーぞー」