コーヒーマシンのボタンを押し、出てくるのを待ちながら、ふとあの日の言葉を思い返す。

オレは良く頭で考えないまま口にしちまったんだ。

福祉部を辞める、と。

ほぼあの発言通りだ。

オレがここに居続ければ久遠も羽依も傷つける。

だから、オレの気持ちが確実にひっくり返る前に去ろうと思ったんだ。

まだやり直せる。

そう、思った。

けど、心のどこか...いや、心全体が叫んでいる。

辞めたくない、と。

何かを失うのが怖いし、それで自分が傷つくのも嫌なのだ。

なんて言っているオレは、超絶カッコ悪いが、実際問題、そうなんだ。

本心を言えば、皆との関係を失くしたくない。

もっと一緒にいたい。

だが、そうしてしまえば、羽依がまた傷つく。

付き合っておきながら、口ばかりで、オレは羽依に何もしてやれなかった。

オレの宙ぶらりんな気持ちのせいで、羽依を幾度となく傷付けた。

それに羽依は友人も失った。

結局春日さんは転校していき、羽依は孤独になった。

人気者の羽依はまるで花のようで、その蜜を吸いに、蝶々のように人が寄せ集まってくるけれど、その中に羽依が心を許せる人はいない。

春日さんだって羽依を思ってあんなことをしたんだ。

オレがちゃんとしてれば......

こんなことにはならずに......

ならずに......済んだのに。