「バッカじゃないの」


キーッという音がし、彼女が椅子から離れたのがわかった。

トントントンと近付いてくる。


「市ヶ谷くん、あなた羽依がいるのに、あの女に惚れてるの?さっきから久遠久遠ってうるさいんだけど。いい加減はっきりしたら?」


春日さんの声が、言葉が、その1つ1つが頭の中で反芻する。

オレは久遠を......

久遠を......

どう思ってるのか。

それは、オレの中でもずっと疑問だった。

だけど、今、

こうしている自分をもう1人の自分が見てこう叫んでいる。

オレは......

オレは......