「ワンコ」

「うわっ」


気づかぬうちに久遠が目の前まで来ていた。

怖すぎだろ。

瞬間移動か。

ってか、なんか......

なんか胸がどくどくするし、脈が速い気がする。

どうした、オレ?

しっかりしろ。

オレはごくんと唾を飲み込み、つつーっと目を反らした。


「あのー、文句あるなら言ってください」

「ねぇよ、別に」

「その顔は"ある"って顔っすよ。私の目はごまかせませんから」


だから、近いって。

前から思っていたが、どうしてこいつは土足でどんどんオレのテリトリーに入ってくるんだ?

そんなんじゃ、防ぎようがないだろ。