私はさっさと彼から離れて着替えをした。

奇しくもこの服が明日からの正装だから、盗まれるわけにはいかないため、仕方なくきちんと畳んでロッカーに鍵をかけて入れた。

後やることといえば、明日から提供するクッキー作りだが、これは1人何個とノルマが決まっているため、家で作って来ようと思う。

なので、これ以上このクラスにいる必要はない。

部室に向かって皆と合流しよう。

私は更衣室を出て廊下のど真ん中を堂々と歩いた。

それにしてもすごい装飾だ。

床にも壁にも飾りがつけてある。

これには一切関わらず、ベランダで1人いそいそと体育館のセッティングのシュミレーションをしていた私には文句をいう権利はない。

だが、1つ思うこと。

派手すぎて落ち着きがない。

私は昔から騒がしい場所が苦手だった。

公園に行っても友達が出来なかったのは、キャーキャー騒ぐ周りの子供の声が耳障りで、1人公園の隅でアリの行列を見ていたから。

ミミズに群がるアリを見つけてはその行き先をじーっと眺めていた。

そんな私を心配して一緒に遊んでくれたのが柳田先生だった。

母が仕事でおらず、祖母の家に預けられていた時は、いとこである柳田先生が私の相手をしてくれていた。

まさかその人が同じ学校にいて、自分の部活の顧問になるなんて、夢にも思わなかった。

そっか。

あれから、もう10年以上経つのか......。

なんだか、な。

なんとも言えないな。