「久遠」


おっと。

まだいたのか、ワンコは。

ワンコはこちらをじーっと見ている。

探っているようだな。

そんな気にすることなど、無いというのに。


「またお前、1人でやろうとしてるだろ?オレたちに頼れって言ったよな?」

「あー、その件なら大丈夫っす。

ちゃんと皆でやってもらうように配置しますし、詳細は後でお話ししますんで、ちゃっちゃと行ってきちゃって下さい。

いいっすか?」


ワンコは腑に落ちないといった表情を浮かべながらも部室を後にした。

自分で拾っておきながらこんなことを言うのも気が引けるが、ワンコはやはり他の人とは違う。

鋭いのだ。

微妙な変化にも気付き、私に優しくしてくれる。

それはまぁ...嬉しいことだが、私より自分やカノジョに気を配った方が良いと思う。

でないと、ワンコ自身が後々苦しむことになるのではないかと、私は密かに恐れていた。