「えー、では、会議を始めます。今日からワンコが仲間入りしましたが、今まで通り活動していきましょう」


つうことでー、と言いながら久遠は立ち上がった。


「始めに、今年から入部のルナとワンコに学生福祉部の基本方針と理念を話します」

「はぁい」

「へい」


やる気のない返事に対してすかさずキリッと睨みが入ったが、お小言は無しだった。


「まず、この部活は人助けをメインに行います。

部員が学校中を調査し、声なき声に耳を傾け、案件を持ち込み、部の会議にかけます。そこで通った案件は、このレスキューシートに具体的な案を書いて私と顧問の柳田美郷先生に提出。先生にOKをもらったら実行っす。ここまでいいっすか?」

「はぁい」

「あぁ」


声なき声に耳を傾ける、か......。

ちゃんと考えて人助けしてたんだな。

ここにきてすっごく申し訳なくなってきている。

どうやら、久遠由紗は罵声を浴びせる相手ではなかったようだ。

あとでちゃんと謝った方がいいな。



「で、この部の理念なんすが、理念は、
"どんな手段を使ってでも、正しき人、問題を抱えている人を助ける"っす。

学生全員が平等に楽しく、幸福を感じながら学生生活を謳歌することが出来る。
これは学生として平等な権利っす。

それを守る。それこそがこの部の役割っす。そして、同時に存在意義っす」