その日の帰り道。

生憎の空模様で天の川はおろか、月さえも見えない。

織姫と彦星は出会えなかったのだろうか。

まぁ、こっちの方の織姫と彦星1組は順調に距離が縮まったようだが。

しかし、だ。

今オレの隣にいるやつらはちっとも進展がない。

それに今、片方は体調不良全開だ。


「おい、お前の家、ここでいいんだよな?」

「あぁ、そうだ。ゆっち、ワンコ、わざわざ送ってくれてありがとう。っ...。あいたたたた...」

「大丈夫か?今日はゆっくり休めよ」

「あぁ」


オレは首にかけていたひなの腕を下ろした。

ひなはお腹を押さえながらも玄関に向かっていく。


「じゃあ、またな」

「お大事にー」


ひながドアを開けて中に入るまできちんと見送ると、ようやくオレと久遠は普通のテンポで歩き出した。