「久遠さんっ!」


階段の方から声が聞こえた。

慌てて振り向くと、大事そうにバッグを抱えた前原さんがこちらに向かってきていた。


「まだ間に合います!急いで!」

「はいっ!」


あのバッグの中身はもしかして......


「これ、ペンっす。印鑑はないっすけど、持ってるんすよね?」

「あぁ。2つ見つけるのは苦労したけど...見つけたよ」

「じゃあ、その覚悟と本気、ちゃんと桃井さんに伝えてあげて下さい」

「あぁ」


私は無線を飛ばした。


「ルナ、今から前原さんが行きます。桃井さんはもう壇上にいらっしゃいますか?」

「はい。今丁度到着しました」

「了解。音楽止めないで待ってて」

「はい」


私は再びドアを開け、前原さんに向かって頷いた。

前原さんはドアの前で一礼し、背筋を伸ばして桃井さんの元へと向かっていった。

さてと、

ここからしばらくはゆっくり観賞させていただきましょう。