「まぁ、余命幾何もない人の最期の時を修飾するってのは、確かに私達自身の心の負担にもなる。

寝ているひなさんはこんな感じだからそれなりにこなせると思うけど、皆はどうすか?

やれないなら最初から降りてもらっても構わないんで、意見言って下さい」


久遠のその言葉ににゃんにゃんが真っ先に手を挙げた。


「わたしはやります!結婚式の演出が出来るなんて貴重な体験ですし、それに...桃井さんには幸せだったと思って向こうに行ってほしいから。最期にわたしが出来ることがあればなんでもしたいです」


にゃんにゃんは真っ直ぐだな。

芯が太くて耐久性があってずーっと空の彼方まで伸びている気がする。

オレもそういうとこ、見習わないと。


「僕もがんばります。幸せを届けたいから、全力でがんばりますぅ」

「じゃあ、一緒に頑張ろ」

「はいっ!」

「で、ひなさんは?」


っと、ここに来て話を振るか。


「ひな、起きろ。久遠が怒るぞ」


オレが肩を掴み、思い切り揺すった。


「うおっ!おっとー、すまないすまない。ついうたた寝を......」

「会議中に寝ないで下さい。いいすか?」

「はぁい」


ほんとに分かったのか?

お隣のオレには覚悟みたいな強いものを君から全然感じられないのだが。


「ひなさんはもちろん参加っすよねー?」

「もちろん!ゆっちがいるなら、俺はどこにでも着いていきます!」

「どこにでもって、それはキモい。この前の男以上っす。セクハラっす。止めて下さい」

「はい...すみません」


久遠には反論の1つも出来ないってか。

うなだれてるひながちょっと可哀想に思える。


「ワンコ」

「へい」

「あんたも参加っすよね?」

「あぁ」


今度はあんた呼ばわりかよ。

ったく、困った部長様だ。

尊敬の念を持ってオレをスカウトしたんじゃなかったのか?

オレは脳内で首を捻り、溜め息を1つついた。


「じゃあ、今回もフルメンバーで参戦ってことでいいっすね?」

「はいっ!」

「はぁい」

「はい」

「へーい」

「では、ここから役割分担します。それぞれメモ出来るもの準備してくださーい。じゃあ行きますよー」


いや、早っ。

準備時間1秒もなかったぜ、今の。

だが、説明は始まってしまう。

オレは仕方なく議事録にメモを取ることにし、一言一句聞き逃さぬよう、耳をダンボにしたのだった。