【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】


狼狽えている。

とりあえず、橘さんに差し出されるまま、もう一杯のワインで口を潤して、回らない頭で考えている。

指に触れていた手は、いつの間にか繋ぎ合わされている。どうしてこうなっているのか、すこしもわからない。


「ええと、私、冷え性で」

「うん、手が冷たいから、心配してました」

「あ、う……、そ、れで、あの、夜も、冷たくて目が覚めちゃうんです」


何を言っているのか、自分で自分がわからない。

かなり酔っていると自覚して、ひどくお酒のペースが進んでいることに気づいた。まずい、これはまずい。


「だから、抱きしめて眠ってほしくて」

「そうされればゆっくり眠れるんですか?」

「そう、ですね、ええと……。それくらい、です」

「なるほど。わかりました。かわいいお願いだ」


指先がなぞられる。

熱に溺れて、倒れてしまいそうだ。こんなにも熱いまなざしをくれる人だっただろうか。酔っぱらいすぎてそう見えているだけなのか。


「どうしようもなく、あまやかしたい」

「な、にを?」

「奥さんになる人のことは、とことんあまやかしたいです。ダメですか?」


熱い瞳に胸が鳴ってしまった。この人に愛される人は、どんな人だろう。想像もできない。


「すてき、なことだとおもいま、す」

「よかった。嫌じゃないなら安心です」

「あ、えと、私は……、その、誰かに見つからないところでなら、とは思いますけど」