【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】


「なんだか、俺のことばかり話してごめんね」

「いえいえ、貴重なお話を聞いてしまった気がします」

「あはは、誰もこんな男の話、興味ないと思うけど……、そうだなあ、佐藤さんは? 結婚願望はあるの?」

「私、ですか?」

「結婚しましょうかって言ってくれるから、本当にびっくりして。……彼氏はいないってことでいいのかな」


二度目のデートで今更だ。

すこし気恥ずかしくなって、クラゲを見ながら考えてみていた。自分の理想が、非現実的なものであることは知っている。

実は私の理想とは父と母と、姉夫婦の恋愛について聞き知ったものがすべてだった。

この2組の実体験を聞いて育った私は、世の中には優しい男性しかいないのだと信じ切っていた。

だからだろうか。壮亮に出会ったときには、かなり面を食らってしまった。

会うたびにブスとか馬鹿とか、のろまとか、そんなことばかりを言われる青春時代だった。

びえびえ泣いていたのは初めのうちだけで、そのうち顔に出ることもなくなってしまった。

今思い出してもちょっと悲しい記憶だけれど、容姿が綺麗じゃないことを自覚させてくれただけ良いのだろう。

やさしい人と付き合ってみても、なかなか感情を表現できなくて「何を考えてるのか、わからない」と別れを切り出されるばかりだ。