「飲みに行きましょう」
「断っていいですか?」
「だめ、あのクソ鬼畜男に奪われたかなしみは、まったく癒えてない」
真顔のまま、柚葉への愛を永遠と語る奇特な上司だった。結婚を知ったときには、まっさきに詰められた。
『わたし、かわいいものフェチなの』
『はい?』
『どうやったらゆずたん……、佐藤さんと仲良くなれるかしら』
『ゆずたん……?』
『はぁ、もう。峯田くんと一緒の時のゆずたん、かわいい……。正義……、ありがとう……』
『え? あの』
『マジであのクソ野郎、別れねえかな。オメーはダメだ。ゆずたんに相応しくない』
『いや、あの』
『飲もうか。ゆずたんと仲良くなる方法、急募』
『しらな、』
『知っとけ。……それじゃあ、よろしくね』
華麗に微笑んで勝手にアポを取り付けられる。
それ以降毎週金曜は、俺と柚葉のランチタイムの尋問飲み会を開催させられている。柚葉の前では、氷の美女も形無しだ。
『ッハァ〜〜! しんど! かわいい! ゆずたん、オムライス食べたの? カワイイ〜〜! 写メ欲し〜〜!!』
『キャラ崩壊やばいんですけど……』
佐藤柚葉は魔性の砂糖。
「今日、やりとり屋。私のおごり」
「……ごちなります」
お前、本当に、手に負えねえわ。
魔性の砂糖
(完)


