間違いない、と一人頷いている。ばかかわいい幼馴染の言葉に呆れて、頭をぐしゃぐしゃに撫でまわした。
「ばーか」
「あ、暴言」
魔性はこっちのセリフだっての。
口に出さずに会社のエントランスまで来て、エレベーターの前で別れる。
まっすぐに歩く後ろ姿は、さっきまで俺の横を必死でついてきていた女には見えない。
どこか凛とした大人の女性に変わってしまっている。
あのふにゃふにゃの甘えたが、俺だけに適応されているのだと思うと、結局俺は柚葉を甘やかしてしまう。
「ま、いいか」
諦めて、どうでもよくなるまで、面倒を見てやろう。柚葉の魔性に取り憑かれる患者は、増える一方だ。
「峯田くん」
「……はい」
ふりかえって、その場に立ち尽くしている女性と目が合った。
同じ課の期待のエースが俺のほうに歩いてくる。
橘の直属の部下だったらしい園部は、どちらかというとあまり表情の動かない、クールな印象の女性だ。あくまでも、あまり知りあっていない間柄に適応されるイメージなのだが。
「……佐藤さん」
「はい」
「っかわいい……、今日もかわいい」
「ああ、はい」
またはじまった。
園部のこの姿を初めて見たのも、柚葉との昼を終えた後だった。ミーティングルームに呼び出されてみれば、開口一番に「佐藤さんとはどういう関係なの?」と凄まれてしまった。


