披露宴の後、二人で飲んだ時に学さんがふっとこぼした言葉だった。その言葉一つだけで、どんな思いを抱えて萌さんを見つめ続けてきていたのか、察せてしまう。
俺を見る学さんが、軽く笑っていた。
『失恋まで、長かったなあ? たぶん、めちゃくちゃ引きずるから、いっそ諦めて近くにいてやれば? もういいって思うまで側にいられりゃ、忘れんのかもな』
好きだなんて言ったこともなかったのに、どうして気づかれてしまったのだろうか。
苦笑して、やわく髪を撫でられた。
学さんは、もう良いと思うまで側にいなかったのだろうか。大学卒業を期に家を出て、ゆくゆくは日本からも出て行ってしまった学さんの心の中は覗き込めない。
『佐藤姉妹、絶対おかしい』
俺がつぶやいたら、ハイボールに口をつけた学さんが笑ってくれていた。
『あんなにかわいいの、マジでおかしい……』
本人には言えないくせに、真剣につぶやいてテーブルに項垂れた。
学さんにしか言えない。
甘ったれた言葉に笑ってくれる憧れが『違いねえわ』とぽつりとつぶやいてくれていた。
佐藤柚葉は魔性の砂糖だ。
『惚れたこと、すこしも後悔できねえから、あいつ、やっぱ手に負えねえわ』


