あの披露宴後、結局逃げられるはずもなく、柚葉の指先には当然のように指輪が嵌められるようになった。
そのおそるべき手腕を持った男が、なぜ柚葉と俺の週一の飯の時間を邪魔してこないのかが不思議でならない。
「おいしいね」
蕎麦をおいしそうに食べる緩んだ顔を見て、何も言わずに観察していれば、また首を傾げられた。突っ込むのが面倒だ。
「柚、お前の旦那、俺たちが昼飯食ってること、最近何も言わねえの?」
問いかければ、柚葉の表情が固まってしまった。うろうろと視線が動いて、「うーんと、」と言葉を選ぶ音が鳴った。
「金曜日は、いいよって」
「金曜日?」
あまり聞かれたくなさそうな顔をしているのに、わざわざ踏み込んで聞いてしまった。
俺の更なる問いかけに、柚葉がすこし顔を俯かせてしまった。下から覗き込むこいつの視線には、魔力がある。そらせなくなるから絶対にやめろと言っているのに、本人はやはり、よくわからないらしい。
「その……」
「なんだよ」
「よる、……たくさん、時間がある、ので」
それ以上の言葉は呑み込んで、柚葉が両手で頬を隠した。
たいそう仲がよろしいことはよくわかった。聞かなかった振りをして、とぼけた声をあげた。
「あー、晩飯一緒に食ってんのか」
「あ、うん。そう、そうです」
あからさまな反応に苦笑したくなって、番茶で流し込む。
そのおそるべき手腕を持った男が、なぜ柚葉と俺の週一の飯の時間を邪魔してこないのかが不思議でならない。
「おいしいね」
蕎麦をおいしそうに食べる緩んだ顔を見て、何も言わずに観察していれば、また首を傾げられた。突っ込むのが面倒だ。
「柚、お前の旦那、俺たちが昼飯食ってること、最近何も言わねえの?」
問いかければ、柚葉の表情が固まってしまった。うろうろと視線が動いて、「うーんと、」と言葉を選ぶ音が鳴った。
「金曜日は、いいよって」
「金曜日?」
あまり聞かれたくなさそうな顔をしているのに、わざわざ踏み込んで聞いてしまった。
俺の更なる問いかけに、柚葉がすこし顔を俯かせてしまった。下から覗き込むこいつの視線には、魔力がある。そらせなくなるから絶対にやめろと言っているのに、本人はやはり、よくわからないらしい。
「その……」
「なんだよ」
「よる、……たくさん、時間がある、ので」
それ以上の言葉は呑み込んで、柚葉が両手で頬を隠した。
たいそう仲がよろしいことはよくわかった。聞かなかった振りをして、とぼけた声をあげた。
「あー、晩飯一緒に食ってんのか」
「あ、うん。そう、そうです」
あからさまな反応に苦笑したくなって、番茶で流し込む。


