【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】

相変わらずの柚葉のペースに苦笑しながら、結局リクエスト通り、昔教わった形で柚葉の手に触れる。


「もう覚えてねえよ」

「ええ、でもなんか、できてるよ」

「適当だ、アホ」

「そうくん、すごいね」


何度も練習したから、いまだに覚えている。


いまだに覚えている拙いステップに、笑いそうになった。

柚葉と練習する気にはなれなくて、部屋で一人、何度も練習した。初めて合わせた時に、柚葉がまた「そうくんはすごい」と目を丸くしていた記憶がある。

見るからに重量感のあるドレスに包まれた柚葉は動きづらそうだ。そんな中でもわざわざ俺のところまで来てくれていたらしい。


「待ち伏せしてたのか?」

「あはは、バレちゃったね。マナくんに、そうくんと二人っきりで会いたいってお願いしてたの」

「あっそ」


すこしも悟らせてくれなかった。さすが学さんだ。

まさかこんな展開が待っているとは思わない。柚葉のオーダー通りに軽く回って、どこまでもたのしそうに笑う瞳を見つめる。


「踏みそ」

「わあ、気をつけなきゃ」

「柚」

「うん?」


きれいに化粧を施した顔で、いつもと同じく無邪気に笑っていた。

心配ばかりをかけさせてくる幼馴染だった。

昔から危なっかしくて、そのくせどこか大胆で、見ていて飽きない、ただ一人の女の子だった。


「結婚、オメデトウ」

「ふふ、何? その言い方」

「ひとまず、振られなきゃいいな」

「あはは、すぐ振られちゃったらこまるなあ」


そんな日が来るとは全く思えなかった。