要領を得ない柚葉の喋りで、笑いだしてしまいそうになる。かわいい柚葉が何を言いたいのか、だいたい察せてしまうからだ。

たまにこうして甘さを振りまいてくる。

不意打ちのかわいらしさは、いっそ毒だ。

罠だとわかっていたとしても、絶対に嵌ってしまう。柚葉の魅力の前で、俺はただの何も持たない男になる。


「……愛、」

「うん?」

「私のだいすき、たくさん……、たしかめて、いいです、よ?」

「あはは」

「……やだ。笑わないでください」


このかわいいつまを、どうしたらいいだろうか。

考える間もなく手が出て、柚葉の後頭部に触れていた。目をまるくする柚葉の唇に触れて、やわく噛む。据え膳食わぬはなんとやらだ。


「じゃあ、今日こそきみの羽根のありかを暴かせてもらおうか」

「もう。そんなもの、ないです」

「まだ、見てないところがあるかもしれないから」

「ぜんぶ、見てるのに」

「飽きないから、困ってるよ」

「遼雅さん、私の心臓、壊れちゃったら責任とってくださいね」

「壊さないように、大切に愛でるから大丈夫だよ」


そっと抱きしめて、名残惜しく離れる。

柚葉の身体は、俺がそばにあるだけで熱くなってしまうようになった。その変化がたまらなく愛おしい。