「りょうがさんは、甘いです」
「うん?」
「たくさんだいすきになっちゃうことばかり、言うんだもん」
「だいすきになってくれるんだ?」
朝のつまは、すこし幼い。
ひそひそと俺だけに声を囁いて、子どものように笑っている。その顔を見るたびに、すべてを暴きたくなる。きっと、まだまだ知らない一面が隠れているだろう。
「夢中です」
仕掛けるように俺と同じ言葉を返して、小さな指先で俺の頬に触れる。
最近のつまは、ずいぶんと積極的になってくれる。
抗わずに顔を寄せて瞼を閉じれば、子どものふれあいのように可愛らしいキスが捧げられた。
「すき」
「うん、俺も好きですよ」
「じゃあ、だいすき」
「はは、かわいいな。……俺はもっと好きです」
「ふふ、もっともっとすきです」
言葉遊びのような愛の声で、目が回りそうだ。
はやくベッドから降りて、羽根が生えていそうなくらいに軽いつまにご飯を食べてもらいたいはずが、すこしもそうしてあげる気には、なれなくなってしまった。
「――俺は、あいしてるよ」
俺の本心を聞いても、柚葉はおどろいたり、困惑することもない。気恥ずかしそうに笑って、頬を撫でてくれる。


