柚葉が腕の中で、かわいらしく笑っている。
あまい唇に唆されるように起き抜けのまま、やわく唇を合わせた。軽く離して、すぐ近くから覗き込む。
瞳はいつもまるく開かれていて、零れ落ちてしまいそうだ。
「りょうがさん?」
「あー……、かわいい」
いつもその目で、じっと俺を射抜いている。
たまらなく愛おしいまなざしに、結局また触れたくて仕方がなくなる。
顎に手を伸ばして、やさしく上を向かせる。もう、俺が何をしようとしているのか、わかってしまったらしいつまが、すこし困ったような瞳をしながら俺を見つめていた。
「もういっかい」
気の抜けた声が出る。
俺の締まりのない表情にも、柚葉は呆れることなく、ゆっくりと瞼を下した。
これが平日なら、必死で抵抗されるのだが、休日はとてもいい。かわいい奥さんは、俺の執着心に付き合って、ベッドから出ずにこうして愛されてくれる。
「ゆず」
「ん、ぅ」
「ゆずは」
「りょ、う」
「好きだよ」
隠す必要もなくなった言葉を吐いて、ちゅう、と唇を離す。
すでに体温が上がってしまった柚葉の指先に手を絡めて、薬指に嵌めた指輪の形をなぞる。ずっとつけていた指輪は、当然ながら柚葉の体温に馴染んでいて、あたたかい。


