【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】


「ありがとう。うれしいです」

「……それは、よかった、です」

「かわいい」

「かわいくない」

「あはは、わがままに付き合わせてごめんね。一緒に寝ようか」


あってないような理性でもって、柚葉の身体を横に下ろした。そのまますっぽりと身体を抱き込んで、布団をかける。


あやすように背中をさすったら、さっきまで警戒していたはずのかわいい人は、すぐにまどろみに足を踏み入れてしまった。


「……ん、ねむ、くなってきた」

「うん、かわいいね」

「かわ……?」


頭に唇を寄せて、背中を優しくなぞる。ただそれだけで暴れまわっていた欲望すらどうでもよくなるから、柚葉は魔性だ。


「ゆずは」

「うん」

「きみのご家族に会わせてくれて、ありがとう」

「……りょうがさん、かっこよかった、です」

「うん?」

「わたしには、もったいな、いくらい」

「俺はきみがいい」


ほとんど寝ぼけたような柚葉が胸に顔を寄せて、小さく笑っていた。


「りょうがさん、」

「うん?」

「あったか、い」

「あはは、よかった」

「すごく、おちつく、の」

「うん?」

「りょうがさ、ん、すき」

「……すき?」

「へへ、ぎゅって、してくれる、から」


やわく笑って、まどろみに落ちた。

意味深な言葉の深読みであっさりと夜は明けて、結局ほとんど寝ずに朝を迎えてしまった。

今日一日、内心かなり浮かれていたが、つまとなる女性が、俺を抱き枕として見ている可能性が高いことに勘付いてしまった。

そもそも抱きしめられると眠れると気づくには、以前にも、抱きしめられて眠った経験が必要だろう。