抑えが利かなくなりそうだ。
口づけながら腰のあたりを軽く撫でたら、さすがに雰囲気があやしくなっていることを察したらしい柚葉が、ぴくりと身体を揺らした。
ほとんど力のない手が、胸をぽかぽかと叩いている。
可愛らしい抵抗で言葉を解放してみれば、上から俺を可愛い瞳で睨む柚葉と目が合った。
「かわいい顔して、どうしたんですか」
「う、きす、もう、おわ、りです」
「もう? たくさんしていいって約束してくれたのに?」
「そ、れは……、でも、だめ、です」
「はは、だめ?」
「う、あ、……その目、だめです」
「うん?」
「よわいんです」
まっすぐに願ったら、断れない性格なのだろう。
困り果てた柚葉が俺の胸に額を擦らせて顔を隠してしまった。かわいらしい拗ね方をする。
もうずっと柚葉に対して、かわいい以外の感情を抱いていないことに気づいた。
こんなにもあまい人間が生きていていいのだろうか。
「柚葉」
「……はい」
どんなに拗ねた格好をしていても、声をかければ絶対に振り返ってくれる。その瞳に浮かぶかがやきに目を眇めて、できるだけやさしく、頬に触れた。
こんなにものめり込むはずじゃなかったと思う一方で、はじめて会話を交わしたときのあの衝撃が予感していたとも思ってしまう。


