同居すれば、毎日こうして柚葉を感じることができる。何と素晴らしいことだろう。
すぐにでも行動したい。
柚葉はか弱い抵抗すら砕かれたら、あとは従順に従って、ぐずぐずにとろけていくしかない。散々蹂躙した唇を離して、力なく俺の胸に倒れる柚葉を抱き込んだ。
「ゆず」
「っ、りょう、がさ、ん」
「認めてもらえてよかった」
「遼雅さんを、認めない人なんて、いないです」
どんな状況でも、単純な敬意の色を乗せてくる。そのまなざしで、好意を持たれていると勘違いする男は多いように思う。過去が透けて見えそうで、かき消すように軽く唇を塞いだ。
「柚葉はあまい」
「遼雅さんのほうが、あまいです」
「俺?」
「気づいてないんですか?」
上から覗き込む柚葉の腰をやわく抱いて、首をかしげる姿の愛らしさに胸を掴まれた。気づいていないのは、柚葉のほうだ。
「気づいてますよ」
「ほんとう?」
「うん、柚葉がかわいいのは、よくわかる」
「ええ、ちが……っん」
自分の容姿についてまったく理解しない悪い婚約者は、口を塞いでしまおう。さっき解放しようと思っていたはずが、もう砕けてしまった。
求めれば求めるほど、ますますほしくなる。


